珍しい鳥に目を輝かせる子供たち。人々は家族連れで、あるいは恋人同士で、思い思いにのどかな時間を過ごしている。楽しそうな声、そして穏やかな笑顔がそこらじゅうに溢れている。
言葉とは裏腹に、竜は実に嬉しそうに…いや、妹が可愛くて仕方ないといった表情でデレている。竜はめったに笑わないキャラだったから、こんな蕩けるような笑顔をする時もあったんだと思うとやり切れない思いがこみ上げてきますね。
差し出された小さな小箱。竜がいつも首から下げている逆ハート型のペンダントは、妹・春子が最後にプレゼントしてくれた物だったのだ。おそらくは、井坂に殺されるほんの数日前に…。竜の記憶の中で、無数の氷の欠片となって粉々に砕け散る父母、そして春子。春子…。
その時、目の前をフラフラと歩いていく女の子の後姿がふと竜の目に止まった。あれは…春子?いやそんなはずは…!!視線を感じて振り向いた彼女は春子とは別人だった。それもそうか…。竜はため息をついた。
春子に似た彼女に、小さな女の子が「今日も面白い鳥のお話を聞かせて!」と嬉しそうに駆け寄ってきた。彼女はその女の子を、乱暴にドンッと突き飛ばし「寄ってこないで!」と背を向けた。
竜の腕を振り払った拍子に、彼女の左腕が顕わになった。そこにあるものを見て、竜は顔色を変えた。ガイアメモリの生体コネクター…?!しかもそれは通常の物よりも6本の電極が不気味に伸びて枝分かれしている。この子はドーパントなのか…?
あたりにいた人々が怖い顔をして集まってきて2人を取り囲んだ。少女は竜の手を振り払い、喧騒に紛れてその場を立ち去っていった。直ぐに後を追おうとした竜は、人垣から伸びた手に腕を捕まれ引き留められてしまった。
「何だお前らも痴漢の仲間か!!」義憤に駆られた群衆の矛先は、翔太郎と亜樹子へ。必死に弁明する2人を余所に、竜は騒然とする人々の向こうに掛けていく少女をじっと見つめていた。
風都野鳥園は、東武動物公園ですね。いいなぁ、近くにお住まいの方。さいたまスーパーアリーナも、カモメビリヤードも、埼玉にはロケ地が多いですね、羨ましい限り。そう言えば、今回のお話では横浜でもロケがあったようで。『横浜市環境創造水再生センター』ここもロケ地として使われる場所のようですね。
天国の音楽の様な鳴き声を奏でる鳥たち。 そんな平和な場所で起きた小さな出会いが、あんな結末に繋がるとは、 この時は少しも想像していなかった…この俺も。 そして、照井も。 「おい、照井。なんだってこんな場所に…?」
翔太郎の疑問は視聴者の疑問。その問いを、竜はお決まりのように「俺に質問するな」とそっけなく躱わし、逆に翔太郎と亜樹子が野鳥園に来た理由を尋ねた。
「仕事だよ。」
翔太郎はなぜか得意満面に答えた。
事務所の近所の子供達が、クラスのみんなから集めたというお小遣い in ぶたちゃんの貯金箱を持って依頼しに来たのだ。その子らが言うには、風都野鳥園で子供たちに鳥の解説をしてくれていたお姉さんが、ある時を境に急に元気がなくなって、子供たちを遠ざけるようになったのだという。
翔太郎は子供たちの依頼を快く引き受けた。
「でもこの金は受け取れねぇな。君たちの優しい心で十分だ。」
翔太郎の得意顔ポイントはココ。今俺いい事言った!的な。
子供たちの可愛らしい依頼を無償で引き受けた翔太郎の後頭部に「お前なにしとんねん!」と言いたげな視線をぶつける亜樹子。いかにも翔太郎らしいやり方に、フィリップは「そう言うと思った」という風に可笑しそうに笑みを浮かべ、「さすがハーフボイルド」と茶化すように言った。
翔太郎は懐から1枚の写真を取り出して竜に見せた。
「俺たちが会いに来たのは、この子だ。名前は島本凪。」
「さっきの子か」
照井竜を痴漢扱いしたあの女の子が「鳥のお姉さん」だったのか!思わず素っ頓狂な声を出して驚く翔太郎と亜樹子。
キャー♡ミック様、お久しぶりです。相変わらずふてぶてしく可愛い♡
余談なんですけどね、「ミック」と言えば「超少女明日香」なんですよね。和田慎二さんの漫画が大好きでして。シャウゥゥゥ!とかいってキリッとしたスーパーな猫になるんですよねー。園咲家のミック様も、スーパーな猫に変身しますがね。それにしても可愛い。”きのう”ちゃんとはまた違った趣で可愛い。
前回の”きのう”ちゃんといい、なんという猫祭り。猫好きには堪らないっすー。
ミック役のブリちゃん、ちゃんと躾けられてるんですね。テーブルに乗せられてなんか居心地悪そうです。「お…怒られる!早く降りなきゃ怒られるw」みたいな顔してて(笑)
相変わらず一番下座で山の様な皿を前に食事をする井坂深紅郎。その目の前のテーブルの上にミックがデンと座っていて、井坂がミックから目を離さずに不愉快そうに食事をしている絵が可笑しい。最初は井坂は園咲家の飼い猫ミックと同等の扱いなのかとも思ったんですが、違うかも。冴子と井坂の姦計を、唯一ミックだけが聞いているんですよね。「こいつは園咲家に仇なす奴」と認識して、監視しているとか。ミックが自主的に。そう書くと犬っぽいけど(笑) でも妙にミックが井坂と冴子に眼を光らせているんですよねー。犬ならば琉兵衛さんの命令で動いたかもしれませんけど、自分の気が向いた事しかしないのが猫ですからねぇ。
「今朝、気づいたのだが、私が保管していたメモリが一つなくなっている。
盗んだのは…井坂君、君かね。」
何の前置きもなく琉兵衛が井坂を見据えて切り出した。口調は穏やかだったが、ゾッとするよう威圧が込められている。井坂は目の前のミックを睨んだまま「さ、どうでしょう。」と口を拭って立ち上がった。
「否定はしないという事かね。」
琉兵衛の笑顔が消えた。
「園咲さん。私10年前ある誓いを立てました。
まぁ、あなたはお忘れでしょうが…。
その誓いを果たす日が…近づいています。 」
井坂は妙に落ち着き払った目で琉兵衛を真っ直ぐに見つめ、そう告げると部屋を出て行った。冴子は父の顔色をうかがう様にしてから、急いで井坂の後を追う。テーブルの上のゴマ団子…違う、ミックが怒ったように唸り声をあげた。
「先生!一体どうなさったの!?父にあの態度はまずいわ。あれじゃ…」
冴子は怯えたように声を潜めた。しかし井坂は動じた風もなく、逆に冴子に覚悟を問うた。
共に恐怖の帝王を倒し、女王となる覚悟は出来ているか…。
野望を持っているとはいえ、そう、直接言葉にされると即座に「YES]とは返答できない。冴子は視線を泳がせて井坂に確認せずには居られなかった。
「…本当に勝てるの?私の父に…?」
「勝てますよ。ようやく手に入れたのです。
私を最強の存在へと変えてくれる…勝利の鍵を…!」
井坂の手には「風都野鳥園」の入場チケットが握られていた。
妙に井坂の目が据わっているんですよね。相当の自信と勝算アリという感じですか。だからこその大口ですね。琉兵衛さんの前で平静を装いながらも脂汗を流していた先生とは違います。
冴子さんも、本気で父親を倒す気なんでしょうかね。もしかしたら、冴子さんはテラーのメモリをブレイクすればいい…くらいに考えていて、そこに井坂先生との齟齬があったりして。そうであって欲しいなぁ。物語とはいえ、親殺しを本気で考えていたらはちょっとやだな。
風都野鳥園裏のベンチに、島本凪は憂鬱な顔でぼんやり座っていた。
傍らに置いてあるゴミ箱の小さな文字がしっかり「風都野鳥園」になってて感動。や、当たり前っちゃ当たり前なんですが、本当に細かい所まで作っているんだなと思って。というか、ここですね、横浜環境創造局水再生センター。ディケイドでも確かにこの場所が出てきたような気がしますな。龍騎の世界…だったかな。龍騎とナイトが揉み合っているど真ん中を、ディケイドが敵を追いかけて突っ切ってったシーン?がここだったような。後で見なおしてみよう…。(って、確信ないのかよΣ
ビシッ!)
「やっと見つけたぞ。」
浮かない顔の凪の前に、竜と、そして翔太郎と亜樹子がやってきた。凪はなんで私に付きまとうのかと不愉快そうに言った。凪の事を心配した子供達から依頼されたのだと伝えても、表情を強張らせたまま頑なに心を閉ざしている。嬉しいと感動する余裕もないほど追い詰められているように見える。
竜は凪の前に膝をつき、覗き込むようにして竜にしては優しく問いかけた。
「何に怯えている?
君はわざと子供達を遠ざけている。…なぜだ?」
子供に話しかける時、目線までしゃがんで語りかけると人見知りな子でも割とすぐに馴染んでくれたりしますね。たまにやんちゃなヤツだとそのまま攻撃されたりしますがw。自分を小さく見せて「怖くないよ」と相手に示す事で警戒心が解けるんでしょうかね。児童心理学など難しい事はわかりませんが、でも誰であれ本能はそう言う事を知っている様な気がする。
春子を思い出させる凪を、竜は放ってはおけないのだろう。凪の目を覗き込む真摯な瞳に、凪も戸惑いながらもポツリポツリと事情を説明し始めた。
「だって……お父さんが……。」
凪が話し始めたとたん、空から大粒の雨が落ちてきた。雨は瞬く間に激しさを増し、そこにいた4人はあっという間にずぶ濡れになった。突然の土砂降りに大騒ぎする亜樹子、竜も翔太郎も怪訝な顔で空を見上げる。凪は怯えたように自分の身体を抱き、「怖い…!」と震えだした。
「どうした!?」
竜がすぐに反応する。凪は泣きだしそうな程怯えながらも、
その日 ( ・・・ ) にあった出来事を話し始めた。
あの日もそうだった。突然強い雨が降り出して、そして。
父は娘を守ろうと必死に抵抗したが、ソイツの雷に撃たれて泥水の中に崩れ落ちた。絶叫を上げて父に駆け寄り懸命に呼び掛ける凪におもむろに歩み寄ってきたソイツは、彼女の腕に奇妙な機械を押しあてたのだ。激痛と共に腕に刻まれた禍々しい生体コネクター。
「これは大切な印です。また会いましょう。」
そう予告して立ち去っていった謎の男。あいつがまた来る…そう思うと、身体が震えた。自分を守ろうとしてくれた父は目の前でヤツの手にかかって倒れてしまった。あの男の目的が凪自身ならば、自分に関わった者は父と同じ目に遭うかもしれない…そう思うと、凪は誰にも相談できなかった。
「よく話してくれた。」
竜は春子がくれたペンダントを首から外して、凪の目の前に翳して見せた。
「これは?」
「お守りだ。とてもよく効くぞ。」
そう言って凪の手にペンダントを握らせた竜の優しい笑顔は、今は亡き妹・春子に向けられていたものと同じだった。掌の上のペンダントを見つめ、凪はようやく笑顔を見せた。
「お揃いですね。約束通り会いに来ましたよ、お嬢さん。」
聞き覚えのある、ねっとりと纏わりつくような声。アレはあの時の怪物!!凪の表情がみるみる強張りガタガタと震えだした。照井竜は雨の彼方を睨みつけ、怒りを込めてその名を呼んだ。
「やはり貴様の仕業か…井坂深紅郎!!」
怖い…怖いよ…泣き声でしきりに呟く凪を後ろに庇い、竜はアクセルドライバーを取り出した。
「大丈夫。君は俺が守る。」
翔太郎も竜の横に立ち、ジョーカーメモリーを押して相棒に呼び掛けた。凪の見ている前で2人の男が仮面ライダーに変身した。驚きのあまり、彼女は息を飲んで目を見張った。
雨の中の激闘。だが残念なことに、アクセルと
W の二人がかりでも、やはりウェザーに太刀打ちできない。ウェザーが
W に向けて手をかざす。途端に一体に振っていた豪雨が
W の周りに集中し始めた。すり鉢状の豪雨地帯に閉じ込められた
W の足元に雨が溜まり、やがてそれは
W の身体全体を飲み込んだ。小うるさい
W の動きを封じ込め、ウェザーはアクセルをいたぶり始めた。
「照井竜くん。君は私に復讐するため、仮面ライダーになったらしいが…」
灼熱のパワーがアクセルの腹を捉え、彼の身体は大きく後ろに吹き飛ばされた。
「何と弱い
復讐者 ( リベンジャー ) !話にならない。」
ウェザーはアクセルを雷雲の中に閉じ込めた。無数の
雷 ( いかづち ) がアクセルの身体を貫く。どれ程足掻こうと、振り切ろうと、雷雲はアクセルに纏わりついて離れる事はない。為す術もなく動きを封じられてダメージだけが蓄積されて行く。
2人の仮面ライダーを封じ込めたウェザーは、悠々と凪に向かって歩を進める。亜樹子が果敢に凪の前にたちはだかり、彼女を守ろうと睨みつけるが、当然のことながらウェザーはまるで蚊でも払う様に造作なく、片手で亜樹子を脇に押し退け凪の前に立った。
「さぁ、その印を見せてもらうよ。」
「こないで!!」
走り出した凪の手を捻りあげ、ウェザーは彼女の生体コネクターの成長を見てほくそ笑んだ。
「実にいい具合だ…。君の心が恐怖の感情に飲まれれば飲まれるほど
コネクターはより早く成長するのだ。
あああ…早くこのメモリを挿したいィィ!」
恍惚と舐め回すように凪の生体コネクターを見つめるウェザーの手には、翼竜の羽根の様な飾りのついた『Q』の刻印のあるガイアメモリが握られている。そのメモリは凪のコネクターに呼応するように、近づけるとコネクターに向かってバチバチと放電する。
なんだ…あの奇妙な形のメモリは…!?フィリップが気づいて呟いた。
「その子から離れろ!!」
焦って絶叫するアクセルを、嘲笑う様にウェザーが一瞥した途端、威力を増した雷が一斉にアクセルを攻撃した。辺りに響き渡る轟音の中、アクセルは砕け散る様にして変身が解け、力尽きた竜は水たまりの中に倒れ込んだ。
「わかったでしょう?あなたは私に近づく事すら出来ない。
復讐どころか、誰一人まともに守る事も出来ない虫けらです。」
ウェザーは凪の腕を掴んだまま、侮蔑をこめて竜を見下ろした。
どこからともなくエクストリームメモリが現れ、
W が閉じ込められている水柱に飛び込んだ。エクストリームに変身する時のエネルギーで水柱を粉砕し、
W はようやく雨の結界から脱出する事が出来た。プリズムメモリをプリズムソードに挿しこんで臨戦態勢に入った
W 。しかしウェザーは、「今は君等と戦うタイミングではない」と言い残し、霧に紛れて姿を消した。
極限状態からとりあえず解放された凪はへなへなとその場に、しゃがみこんだ。ボロボロで立ち上がる事も出来ない竜は、身体を引き摺る様にして凪の傍に寄り、「大丈夫か?」と声をかけた。見る限り、この4人の中で一番大丈夫じゃなさそうなのは当の竜なんですけどね。でも、ウェザーの雷に焼かれた傷よりも、凪の言葉の方が竜には何よりも堪えたんじゃないでしょうか。
「嘘吐き。守ってくれるって言ったけど、全然敵わなかったじゃない!!」
走り去って行く凪の後姿を見つめ、竜は自分への腹立たしさに拳を地に叩きつけた。
事務所に帰ったフィリップは早速
地球 ( ほし ) の本棚で、ウェザーが持っていた奇妙な形のガイアメモリについて検索を開始した。
そ祖て導き出された答え。それは【ケツァルコアトルス(Quetzalcoatlus)】のメモリ。
アステカ文明で
「蛇の神」 と崇められた、史上最大の飛行生物。(フィリップ絵が上手い!!絵の才能もあるんだ)
島本凪はそのメモリの過剰適合者なのだ。かつて井坂は、インビジブルの過剰適合者であったリリィ白銀の身体にメモリを埋め込み、そのパワーを最大限に増幅させ、そして最終的にはそのメモリを自分の物にしようとした。おそらく井坂は同様の目的で島本凪に目をつけた。
タダ、以前と違うのは、井坂はまだ凪の身体にガイアメモリを挿していない…という点だ。その理由は、先ほどの戦いでウェザーが口にしていた。
君の心が恐怖の感情に飲まれれば飲まれるほど コネクターはより早く成長するのだ…。 「コネクターが完成するのを待っているってことか…。」
恐怖の感情がコネクターの成長を促進するというのなら、彼女に恐怖を植え付けるのが一番手っ取り早い。だから目の前で父親を殺したのだ。そればかりではない。コネクターが完成するまで、井坂は彼女に恐怖を与え続けるのだろう。
そう考えると、2人の仮面ライダーが全く太刀打ちできずにウェザーに敗北する様を目の当たりにした…という事は、凪のさらなる恐怖の素になりゃしませんかね。仮面ライダーが2人がかりでもあの怪物に勝てない=逃れる術は皆無という事ですから。絶望と恐怖。
ダンッ!!と竜が柱に拳を叩きつけた。井坂に対する怒り。不甲斐ない自分への腹立たしさ。竜は無言でガレージを出て行った。亜樹子が心配そうに慌てて後を追う。
妹を守る事は出来なかった。だが、今度こそ、どんな事をしても凪を守りたいという気持ちは強いでしょうね、竜は。
蝋燭の仄かな炎に井坂の横顔が浮かび上がる。灯りを落とした薄暗い部屋で、井坂は冴子に自分の過去を語り始めた。
「冴子君。私は昔、自分がなぜこの世界に生まれてきたのかわからず、
答えを求めていました…。」
井坂が医者になって生命の研究に没頭したのは、総てその為だったのだ。だがいくら研究しても答えは見つからず、虚しさだけが心に積もった。心の虚を埋め、気をを紛らわすように酒に酔い、夜の町を彷徨う日々。
そんなある夜、井坂は偶然にテラーの力を目撃した。ひたひたと辺りに押し寄せる禍々しいエネルギーの波に、数人の人間が為す術もなく飲まれて行く。闇に哄笑するテラードーパントの、圧倒的な恐怖のパワーに、井坂は感動し、魅了されていった。そして瞬時に理解した。
変身を解いた紳士が手に持つ物=ガイアメモリこそが、井坂を虜にした力の根源なのだと。
悠々とその場を後にする琉兵衛の背中に、井坂は夢中で声を掛けた。
「なぁ!教えてくれ!それは…何だ?」
井坂の問いかけに、琉兵衛はチラリと視線をよこしただけで、歯牙にもかけずに立ち去ろうとした。井坂は慌てて琉兵衛の前に回り込み、縋りついた。
「私は…それが欲しい!!その力が…!」
「君にその資格があれば、いずれ出会うだろう…ガイアメモリに。」
琉兵衛はそれだけ言うと、立ち去って行った。
その時井坂は誓ったのだ。
あの絶対的な闇の力を…琉兵衛の持つテラーのメモリを、いつか必ず自分の物にしてやる…と。 「それで私に近づいたのね…。答えて。」
艶めかしい白い足を解いて立ち上がり、冴子は井坂の傍らにピッタリと寄り添った。燃えるような目でじっと井坂の横顔を見つめる。
「そうですよ。」
井坂はチラリと横目で冴子を見て、ハッキリそう答えた。
「嫌いになりましたか?」
「…いいえ。
あなたの本心に触れ…やっと不安が消えたわ…。
あなたならきっと…父を倒せる…。」
冴子は井坂のこめかみに額を寄せ、耳元で囁いた。
どこから忍びこんだのか、テーブルの下でミックが小さく唸り声をあげた。
久々の「これ子供番組じゃないよね」って場面ですね。先週先々週で、井坂先生と冴子さんの距離感から艶めかしさが無くなったと感じたんですが、元に戻りましたねー。
すっ…と椅子の上に消えた冴子さんの白い素足の行方よりも、ミック様のフカフカした丸いフォルムに釘付けでしたがw。
鳴海探偵事務所を後にした照井竜は靄の立ちこめる森の中を、足早に歩いていく。亜樹子がフラフラになりながら必死について行く。ここは、初めて竜がシュラウドに出会った場所。
竜は森の奥に向かって大声で呼びかけた。
「聞こえるか!!シュラウド!」
下草に火が走る。ゆらゆら妖しく揺らめく炎の向こうから、シュラウドが姿を現した。竜は彼女にもっと強い、力を欲した。だが。
「断る。私が今までに力を貸してきたのは、
あなたの戦う理由が復讐だったから。
でも…今は違う。その目に、以前の様な憎しみの炎はない。
だから、あの男に勝てない。」
「待て!」
竜はアクセルに変身して、シュラウドにエンジンブレードを突き付けた。
「俺の中の炎は、消えちゃいない!!」
睨みあう様に視線を戦わせるふたり。竜の瞳の中に未だ消えない復讐の炎を見たのか、やがてシュラウドは竜を森の奥に誘った。その後ろを、亜樹子が慌ててついて行く。
凪は本当に鳥が好きなんですねぇ。ウェザーに狙われていても、野鳥園には来ずにはいられないくらい。鳥達を眺めている彼女の顔は穏やかで、ウェザーへの恐怖心も忘れているかのようです。
「よぅ。その鳥、なんて鳥?」
金網の外から翔太郎が声を掛けた。大好きな鳥に関する質問に、凪は名前だけでなく生態までも交えて答えた。へぇ、詳しいんだな…関心する翔太郎に、凪は「お父さんが飼育員だったの。だから自然と鳥が好きになった。」と笑顔を見せた。こんな時、翔太郎のハーフボイルドは、不安な心をホッとさせる陽だまりの様な安心感を与えるのだろう。
「ねぇ、あの人…どうして私を守ろうとしたの?」
ひどい事を言った…その事をずっと気にしていたのかもしれない。翔太郎は竜の哀しい過去を話した。
「ヤツの家族もあの男に命を奪われた。だから…。
どんな事があろうと、君を守ろうとした。」
「そんなの…勝手に重ねられても困るよ…!!
もしそれで死なれちゃったら…。」
凪という女の子は見た目よりずっと子供なのかもしれない。優しい心を持っているけれど、自分の事に精一杯で人の人生の重さに耐えられないのかも。
「あいつは死なない。
守るべき者がいれば、男はどこまでも強くなれる。
…俺の尊敬している人の言葉さ。」
凪は竜から貰ったお守りのペンダントをポケットから取り、じっと見つめた。
その時、木の上で翼を休めていた鳥たちが一斉に飛び立った。翔太郎の表情が険しくなる。凪の背後に現れた不吉な山高帽子の男は、ねっとりとした声で話しかけてきた。
「おはよう。昨日はよく眠れましたか?」
「ふざけんな!て目ぇのくっだらねぇ欲望の為に
彼女に給付を与えようとしているのはわかってる!」
翔太郎は竜の代わりに絶対に凪を守ろうと決心しているのだろう。彼女は後ろに下がらせて井坂を睨みつけた。井坂が姿を現した理由…それは、ケツ・・・ケツ・・・えーと、ケツ…何だっけ?亜樹子がケツケツ連呼するもんだから、ケツしか頭に残ってません。すみません、ケツケツ連呼して。ケツァルコアトルスでした。ケツァルコアトルス。でもコピーして貼り付けているから、いつまでたってもケツしか覚えてないと思います、私。ちなみに私は尻フェチではありません。
そうそう、井坂がここに現れた理由でした。
彼はケツァルコアトルスを使う事によって、凪がどんな怖ろしい怪物になるか、複製したケツァルコアトルス・メモリで実演するために現れたのだ。これをお前の腕の生体コネクターに挿すと、こんな化け物になっちゃうんだぞ…と、実際に見せて恐怖を煽る為ですよね。なんて外道な奴なんだ、井坂深紅郎。
井坂は複製品のガイアメモリを、そこにいたコンゴウインコに挿した。途端にインコの身体は膨れ上がり、鳥舎の金網を突き破って巨大な翼竜に姿を変えた。フィリップがホワイトボードに描いたケツァルコアトルスと姿が違う。もっと醜悪で禍々しい。奇声を発して飛び立ったケツァルコアトルスは、逃げる凪を掴むと空高く舞い上がった。
「しまった!!フィリップ!」
翔太郎はフィリップに呼び掛け、
W に変身してすぐにハードボイルダーで後を追った。追いかけてくる仮面ライダーをうるさそうに振り返り、ケツァルコアトルスは上空から火球を吐きだして攻撃してくる。これでは思う様に後を追えない…!ハードボイルダーの前に、久々のリボルギャリーが滑り込んで来た。空を飛ぶ敵には、ハードタービュラーだ!リボルギャリーに乗り込んだ
W 。だがそこにあったのは、竜のガンナーユニット、ガンナーAだった。
笑った?ガンナーAが笑ったww!ニコッと笑って、片手をあげて「やぁ!」って挨拶したよww!!ええええ!!しかも「ねぇねぇ、早く!使って!使って!」みたいにピョコピョコ車体を揺すってるし。こいつ、意思があるのか!びっくりですわ。ちゃっかり勝手に乗り込んできたってことでしょうかね。前にも一度勝手にガレージに現れたし。飼い主…もとい、オーナーの照井が来るまでの間、彼に代わって凪を守るために。なんという忠犬っぷり!
ミック様といい、今回は動物達が…ガンナーは動物じゃないか…飼い主の為に忠実に働く…えーと、ペットじゃないし。そういう子達が大活躍の巻ですね。なにげに。
「まぁいい。こいつで撃ち落とすぜ!」
ガンナーAと合体して、
W は空を飛ぶケツァルコアトルスを、ガイアキャノンで撃ち落とした。炎をあげて落下するケツァルコアトルス。凪の身体は爪から外れてまっさかさまに落ちていく。
W はすばやくルナジョーカーにチェンジして、悲鳴を上げて落下する凪の身体を、ルナの伸びる腕で蒔きつけ引き寄せた。ああ…ルナジョーカーにお暇様抱っこ…いいなぁ…。つか、
W てお姫様抱っこ率高くないですか?いや、羨ましくなんか…(TT)
それにしてもこのシーン、飛んできたのを抱きとめた風になってましたが、向かいに立ったどなたかが
W に向かって、凪ちゃんの身体をほいっと投げて、それを高岩さんがキャッチしたんでしょうかね。もしそうなら、投げる方も受け取る高岩さんもタイミング合わせるのが大変でしたでしょうけど、投げられる凪ちゃんも大変でしたね!…楽しそうですがw。
W は凪を近くの植え込みの陰に隠すと、エクストリームにチェンジしてケツァルコアトルスの前に立った。マキシマムスロットに4本のメモリをセットして、プリズムビッカーをガンナーのキャノンの発射口目がけて放った。ガイアキャノンの発射の勢いで宙高く打ち出されるビッカーに飛び乗るエクストリーム!そんな使い方もあるんだ!!凄い!息子は「き…觔斗雲!?」と呟いてました。確かに孫悟空っぽかった(笑)
上空に向かって一直線に飛んで行き、ビッカーチャージブレイクでケツァルコアトルスの巨体を真っ二つに斬り裂いた。爆炎の中、メモリブレイクされたコンゴウインコが吃驚したように羽ばたいて飛んで行った。
「やったぜ!」
だが、ホッとしたのも束の間、いつの間に凪の近く現れた井坂孝四郎が、いやがる凪の腕を掴んで何かしようとしている!彼女が危ない!
W は急いで凪の元へと走った。
シュラウドに導かれるまま、森を抜けてきた竜達の目の前には、モトクロス場が広がっている。シュラウドはコース上に止まっていた1台のモトクロッサーに近づき、ヘルメットを竜に放ってよこした。
「さあ、乗るのよ。照井竜。」
今度の新しい力は、それなりの努力をしないと手に入れられないって事ですね。竜の正念場です。いよいよ新フォーム登場か。来週あたり。
…と、ここで待て次週ですね。
さて、次週!冴子さんが…冴子さんがテラー・ドーパントと戦ってる!!私あh井坂先生に賭けた…もう後には戻れないのよ…とか言ってるし。冴子さんに破滅の足音が!!
そしてアクセルに遂に新フォーム登場です!永徳さん、また青くなってます(笑)
照井竜と井坂深紅郎との因縁の決着もつくんでしょうか…。
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