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小さな命

9月3日の朝、影虎が亡くなりました。


こんなに小さいと人間だけの手で育てるのは非常に難しい・・・と診てくださる獣医さんが皆そうおっしゃいましたけど、皆様にたくさん励ましのお言葉をいただき、絶対に大きく元気に育ててあげようと、家族全員が協力し合って頑張ってみましたが、小さな命を守りきることは叶いませんでした。

好奇心旺盛でやんちゃで甘えん坊の影虎は、生後2週間を超えて体重は来た時の倍になり、最近では毛づくろいの真似事や、トイレの砂掘りの様な仕草も始めていました。後ろ足で耳をカシカシしようとしてひっくり返ったり、おしっこをしたくなると大きな声で鳴いて落ち着かなくなったり、籠から脱走してソロソロと探検し始めたり、急に私の手にじゃれつくように噛みついて遊ぶ仕草も始めていました。

9月1日、鼻炎の症状が出始め、鼻詰まりが辛いのかウトウト眠ってはすぐに起きてしまうんです。ミルクの飲みっぷりもいいし、目を離すと元気に籠から脱走して歩き回ってましたが、ゆっくりと眠れない影虎が可哀そうで、獣医さんに連れて行ったんです。

「これだけ小さいと、抗生剤も使いたくないですしね。この子の抵抗力にかけるしかないんですが」と、取り合えず生理食塩水で鼻を洗浄してくださったんです。そうしたら随分と楽になったようでした。ついでに健康状態もチェックしてもらったんですが、鼻炎の症状以外、特に問題はない・・・と言う事で、「利かないかもしれませんが」と、仔猫用にうんと薄い点鼻薬を出していただきました。

鼻洗浄の効果はそれから1日くらいは続いたでしょうか。ミルクもたくさん飲んで、元気に脱走を繰り返して、時折カーテンが風で揺れるのをじーっと見つめていたりしてました。
2日の午後になるとまた鼻がスピスピ言い始め、時折苦しそうにし始めたので、処方された点鼻を使いながら、鼻炎が完治するまで鼻の洗浄だけでもしていただくために病院に通おうかと考え始めた矢先です。

夜になって容態が急変したのです。
パニックを起こしたように大きな声で鳴きながら、もがき始めた影虎をすぐに夜間救急に連れて行きました。当直の若い獣医さんは、影虎の様子を見るなり

「状態は非常に良くないですね」と。

その時影虎は、息苦しさのあまり口を開けてハッハッと浅い呼吸をしていました。猫の開口呼吸は非常に良くない状態なのだそうです。

「このまま一晩、酸素室でお預かりしてもいいですか?」

獣医さんは一度はそうおっしゃったんです。でも、影虎は小さすぎて点滴も取れないし、気道確保も無理だから、ただ酸素室で様子を見るだけになってしまうという事なのです。場合によっては、環境が変わった事によるストレスで、一気に状態が悪化する危険性もあると。そうなった時、当直は一人なので手が足りずに十分な治療が出来ないと。

結局、翌日の9時から院長の診察があるので、今夜はとりあえず、前回の来院時に効果があった鼻洗浄をして、家に連れて帰って様子を見て、翌日9時から院長に診察をしてもらう方がいいと言う事になりました。
細い細いカテーテルに麻酔のジェルを塗って、鼻から挿入するんですが、影虎が小さな体で抵抗しまくって上手くいかない為、旦那が押さえて獣医さんが挿入して、私が注射器を押して洗浄液(生理食塩水?)を少しずつ入れる・・・と言うくらい、この時は影虎はまだ動けたんですよ。

影虎を家に連れ帰りました。一晩中影虎の傍で、細く作ったコヨリで鼻水を吸い取ったり、水も受け付けなくなった影虎の舌を、水を含ませた綿棒で何度も拭ったり、発作が起きるたびに身体をさすったりしながら、早く夜が明けないかとジリジリしながら夜明けを待ちました。
明け方、影虎が何度もくしゃみをして、少し白っぽい鼻水が出て、それでそれまで気管がゼロゼロと鳴っていたのが止み、少し楽になったのかようやく影虎は少し眠りました。でも。

約束の9時を待たずにかなり早めに家を出て、病院に向かう途中の車の中で、影虎が苦しそうに口を開けて2回引き付けを起こしたんです。舌が真っ白で、唇の赤がみるみる褪せて色を失くし、そして私の手の中で、影虎の呼吸が止まりました。驚いてすぐに口から息を吹き込んだり、身体をマッサージしましたが、小さな体はクニャリと柔らかくなって何の反応もありませんでした。

病院ですぐに蘇生治療を施して下さったんですが、とうとう1度も呼吸が回復する事は無く、あの子は戻ってきませんでした。影虎の身体は小さすぎて、酸素を供給するチューブを気管に挿入する事が出来ず、点滴をしようにも血管が細すぎて針が入らず、獣医さんも手の施しようがなかったんです。

院長先生はこうおっしゃってました。
母猫がこの仔を置いて行ったのは、この仔に何か欠陥があったという事です。おっぱいの吸いが悪いとか、身体になにか障害があるとか、身体が小さいとか。身体が小さすぎて治療が出来ないから、この仔の生命力次第だったが、こうやって亡くなってしまうのは淘汰されたという事なんですと。
そして、夜間救急の当直だった若い獣医さんも、「ここまで育ったのはむしろ驚異です」とおっしゃってました。

でもそんな事は、もうどうでもいいんです。
私たちはあの子の命を守ってあげられなかった。その悲しみだけです。

「今日は(会計無しで)このままお帰りになって結構です。
 お力になれなくてすみませんでした。」

と見送りに出てくださった若い獣医さんにありがとうございましたと頭を下げて、影虎を抱きしめて帰りました。

息子たちにもお別れをさせてあげる為に、身体が硬直する前に一番可愛い格好に整えて、ガーゼを敷き詰めた箱に寝かせて、氷を乗せました。旦那が泣いたのを見たのは初めてだったな。
旦那はそのまま会社に行き、ひとり家に残った私は、一日中泣いていました。


影虎がいない。影虎がいない。


掌にはまだ柔らかい毛並みも、温もりも、150gの重さも残っているのに、カシカシと私の指を噛んだり吸ったりしていた影虎の口の湿った温かさを覚えているのに、影虎はもういない。
籠の縁からひょっこりと今でも顔を出しそうで、ついついそちらの方に目が行ってしまうのだけれど、そこにはもう冷たく固まった影虎の身体が横たわっているだけなんです。まるで眠っているような格好で、でも柔らかく上下していたお腹も2度と動かない。

親に捨てられたこの仔の家族になってあげたかった。
ずっと幸せにのほほんと暮らして行けたらと思ってた。
たった18日間の命。うちに来てたった2週間で、影虎は。
あの仔の猫生は、幸せだっただろうか。温もりをあげる事が出来ただろうか。

9月4日、影虎を庭に埋葬しました。
最後に家族の一人一人が、影虎の身体を抱いて別れを言い、旦那が作った小さな箱に、ガーゼで包んだ影虎を寝かせ、たくさん作ったミルク入りの哺乳瓶を添えて、みんなの手で土をかけて埋葬しました。
そしてそこに、木の苗を植えました。

花の咲く木は、散るのが悲しい。落葉する木も寂しすぎる。
もう二度と影虎が散っていくのを見たくないから、一年中青々として、幼くして死んでしまった影虎の分まで大きく真っ直ぐに育つ様な、そんな木の苗を植えてあげよう・・・と、家族で決めたんです。
ちょうど影虎のしっぽのような、そんなイメージのゴールドクレストの苗を植えました。
まだ20cmくらいですが、大きく高く真っ直ぐに、ベランダに届くほどに育って欲しいです。


影虎がいた2週間―――。
「あいつはなんの為にうちに来たのかな・・・。」
息子がポツリと言いました。

仲はいいけど、最近はそれぞれが好き勝手な事をやっていて、なかなか一緒に行動するという事が少なくなっていた我が家ですが、影虎がいた2週間、家族全員が居間に集まっている時間がとても長かった気がします。「影虎、ただいま。」「影虎、行ってきます。」と事あるごとに籠を覗き込んでは話しかけていましたね。育児に追われる私を気遣って、ジュースを奢ってくれたり、肩を揉んでくれたり、家の事も手伝ってくれたし。

私自身もこの2週間、息子2人の赤ちゃんの頃を無性に思い出しました。
こんな事があった、あんな事があった、少しの異変も見逃すまいと張り詰めて、寝不足と疲労で毎日くたくただったけど、息子達の小さな進歩がいちいち嬉しかった。笑ってくれるととても幸せだった。

家族は大切。そんな当たり前の事を影虎は思い出させてくれた気がします。
ありがとうね、影虎。
影虎もずーっと私たちの家族だよ。

まだ思い出すと辛くて、突然涙があふれて止まらなくなっちゃうんですが、少し気持ちが落ち着いたので、影虎の最期の様子をここに書き留めておこうと思いました。この悲しみを忘れないため、助けてあげられなかった懺悔のため、そして影虎へのありがとうを込めて。

もしもコメントやリプを頂いても、辛くて悲しくて胸がつぶれそうでお返事できないと思います。どうぞお察し下さいませ。たくさんの方にご心配いただいて、心から感謝しております。
皆様のお声に支えられて、私も老いらくの育児をがんばれました。
本当にありがとうございました。

                              
                           2010年9月5日 路地裏のノラ
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私も何度もこの手の中から【命】を送って来ました。その辛さや悲しさは十分理解出来ます。でも今noraさんがしなければいけない事って、同じ辛さや悲しさを抱えても、気持ちを切り替えて職場や学校に行かなければいけない御家族に『お帰りなさい。』って笑顔で言える様になる事だと思います。影虎ちゃんが再確認させてくれた【家族の絆】って、noraさんがまさに実行しようと思ってた事ですよね!

今日は日曜日で家族の皆さんも一緒に居られるでしょうから、ゆったりと夕飯を食べられるといいかもしれませんね。

前回noraさんは私の事を『友人だと思っています』と心配して下さいましたが、私もnoraさんの事を『大切な友人』だと思っています。影虎ちゃんは居ませんが…ここからが始まりだと思いますよ!

ゆっくりゆったりでいいので…またお喋り出来る様になるまで、今度は私が待っていますね♪

と言う事で…今から関所に向かいます(笑)
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高岩成二さんのファンです。
仮面ライダー大好きです。
来世は絶対男に生まれ変わってJAEに入って、仮面ライダーを目指します。

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